景観に配慮した河田町交番
↑正面東寄り外観 ↑正面外観
背後は旧小笠原伯爵邸



↓正面西寄り外観
景観に配慮した交番 (警視庁牛込署河田町交番)
敷地は新宿区河田町で、放射25号(旧職安通り延伸線)に面し、ここを始点に交わる環状4号(外苑西通り延伸線)の新設に伴う都市計画の一環である。既存の交番を取り壊し、拡幅後退位置へ移転新築する。敷地は地下鉄大江戸線、若松河田駅出入口横にあり、通りからは背後に旧小笠原伯爵邸(東京都選定歴史的建造物で現在はレストランとして利用)を望む。昭和2年建設の旧小笠原邸はスペイン風RC造2階建て、建物隅に丸面を取った重厚な外観を呈している。設計条件は街並みとの景観、特に小笠原邸との関係に違和感を生じないよう配慮する事であった。 敷地は間口4.9m、面積60uと細長く奥が斜めに変形している。西側は高層マンション、東と北は小笠原邸へのアプローチ通路で囲まれ、前面道路と奥南側のレベル差は1.9mある。交番業務スペースは建蔽率70%程で納まるので、建築範囲を敷地全体に配置した。小笠原邸へのアプローチに交番の存在が突出しないよう、1階床レベルは全て前面道路に合せ南側を半地下レベルとした。2階居住スペースを低く抑える事で全体が平屋建てのイメージになっている。東側は視覚的トラブルを避けるため、開口無し(採光は嵌殺し不透明のガラスブロック窓)にし、スケール感を出すためにタイル目地をストライブ模様とした。東側外壁は人との距離が近いため、景観上の配慮として建物の圧迫感を軽減し、また小笠原邸とイメージを合わせる為、建物隅をR形とした。お巡りさんの移動手段としての自転車置場は、常時数台必要だが景観的に施設の煩雑感を表出しないよう西マンションとの間に配置した。
↑小笠原邸玄関より北側外観
作品6-2/景観に配慮した河田町交番
鈴木啓二/建築設計社のホームページ
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