鈴木啓二/建築設計社のホームページ
里山作業施設
の目的
里山作業施設(東京都公式施設名)は、東京都と埼玉県境に125haの規模で広がる都立野山北・六道山公園整備計画の一部である。里山農家を『人が手を添えた自然とエコロジカルに共生し、エンドレスな再生産が可能な農家』と解釈し、農林業体験の習得にとどまらず、人と自然の共生の仕方を体現できる施設を目指している。耕作や雑木林の手入れを通して、里山という人手が加わった二次的自然との共存形態を学ぶ場である。
施設所在地 東京都武蔵村山市岸2丁目地内
各棟の建物名 @主屋(仮称:宮の入家住宅) A蔵 B作業小屋 C納屋 D便所・ポンプ小屋
主屋








案内図
主屋(宮の入家住宅)は里山作業施設の中核的な建物であり、各種屋内体験を行う場であるとともに、里山生活を象徴する展示物である。主屋の設計は狭山丘陵周辺の民家調査資料をもとに、歴史的、風土的なかたちを踏まえつつ、作業施設としての実用性を鑑みて行われた。建築様式としては、平面形式が年代設定および実用性から江戸中後期右勝手の喰違四間型で、屋根は武蔵国のうち、この地区で多く見られた茅葺き入母屋屋根としている。間取りは座敷、カッテ、でい、奥の間の四間があり、座敷カッテ境がカッテ寄りに喰違う。土間廻りに水屋、かまど、湯殿および馬屋があり、床廻りにはそと縁(南側)、うち縁(西側)とふたつの異なる縁側をもつ。カッテ、馬屋のうえには、それぞれ納戸、男部屋としての2階がある。
平面規模は上屋が梁間4間、桁行10間、東側をのぞく3面に幅半間の下屋をもつ。北側は上屋と下屋が一体化した下屋造りとなっており、お勝手上部には既述の2階(納戸)が設けられている。
構造は通し貫による伝統的貫構造で、梁組みは曲がり材による二重梁構造である。柱は土間廻りは土台造り、床廻りは石場立てとし、中心部に大黒柱および小黒柱2本をもつ。床廻りでは地貫の高さがずらしてあり、梁間方向には根太を、桁行方向には床板を、それぞれ直にのせて床組みを構成している。
壁は竹小舞下地の土壁中塗仕上とし、奥2間は白漆喰を上塗している。土壁部は貫伏せと貫あらわしの部分とがある。
床仕上げは土間・犬走りが三和土、床張り部分は和釘とめの板張りである。かまど廻りおよび馬屋は一段掘り窪められている。
屋根は叉首(さす)組、垂木竹下地の茅葺き屋根で、破風格子をもつ入母屋屋根である。茅葺屋根は中央の起りおよび軒反りをつけ、棟には杉皮、飾竹等による棟飾りを施す。なお消防のため、屋根には設備工事でドレンチャーを設置する。
データ ■建築面積:191.30u(申請面積) ■延床面積:204.28u(申請面積)
■最高高さ:8.88m■軒高さ:4.46m ■構造規模:木造2階建て
江戸後期の平入り二階建て漆喰塗り土蔵で、狭山丘陵地域の蔵を新築復元したものである。この蔵は土造りの部分をコンクリートで作ったが、外内観とも、伝統的な木造土蔵を忠実に復元した。この建築は木構造を土と漆喰で塗固めた耐火倉庫で、内部は各階一室、梯子つき。出典例に倣って1階床はたたきにしている。瓦葺屋根はさや屋根の構造で、下部木構造を土壁で塗固め、その上に置いてある。耐火用の黒漆喰土戸は二重で、外側の厚い土戸は火災時に閉じた。
データ ■平面型:梁間2間半x桁行き3間 ■構造規模:鉄筋コンクリート造瓦葺2階建て
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