内外救急薬品ビル
↑遠景

←正面外観
この建築は内外救急薬品工業本社屋の事務所ビルである。所在地は西巣鴨交差点に近く、飛鳥山へ向かう明治通りを北へ300m入った角地にある。東15m、北8mの道路に面し、北側に5階建ての都営住宅、南、東側には低層の住宅が立ち並んでいる。敷地面積は約100uと、ほぼ住宅一戸分の規模である。広い道路に面する割に住居地域のため建蔽率60%(角地で70%)、容積率300%と大きくなく、法的に規模が抑えられた計画である。このような条件から建蔽率に係る各階床面積は、上限いっぱいの70u、延べ床面積は駐車場緩和を受けて、差引き300uという規模で限定された。構造は壁式鉄筋コンクリート造地上5階(5階はEV機械室と階段室のみ)地下1階で、単純な箱型の総地下掘りである。これはRC地上5層を杭無し構造で安定させるためで、コンクリートも比重1.6の軽量材を用いている。階構成は、地階が倉庫、1階駐車場、2・3階事務室、4階役員室会議室となっていて、5階の階段室・屋上は容積率が緩和された場合うまく使えるよう外周に構造体を一層分高く立ち上げている。平面は階段室とEVピットで階床面積の20%にもなるため、廊下のないコンパクトな形状に納めている。
外観は、相対する二つの要素の組み合わせで、新しいデザインにまとめる試みを行った。一つは材料の持つ技術的イメージであり、もう一つは、形態における様式的なことについてである。材料はすべて普及品として出廻っている物で、技術的度合いの低いローテクなイメージの材料として、現場打ち放しコンクリート、引っ掻き模様で厚手のスクラッチタイルを選んだ。これに対して、ハイテクイメージからはミラーガラス、アルミサッシ、ガラスブロックを取り上げた。このイメージの異なる二つの材料を、また、相対する二つの表現法、<様式的表現とモダン的表現>で使い分けを行った。
まず、構造表現として煉瓦建築など組積造建築様式に見られる水平固めのストライプを造形化し、各階床レベルに打ち放しコンクリートの梁をはつり仕上げにして表現した。最上部梁には蛇腹模様を付けて様式的表現の押さえとし、その間に煉瓦建築の雰囲気で荒い感じのスクラッチタイルを張り込んだ。仕上げ部材としてのアルミサッシは、強くモダン的表現にするため、黒い色で出っ張りのないカーテンウォールを選んだ。フラットなミラーガラスによる鏡面が、空を映し込んでモダンな感じを作り出している。また、各階に設けた避難バルコニーは、ガラスブロックを使ってR状に張り出し、明るさを確保するとともにバルコニー部分を床まで透明ガラスにして観葉植物など緑を置いて視覚的な広がりも確保している。
作品10/内外救急薬品ビル
鈴木啓二/建築設計社のホームページ
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