大スパンの工場
大スパンの工場(いわき市上遠野)
工場の設計は、”生産物や生産量の変化″への対応が前提となる。増改築のしやすさを含め生産ラインの変更が容易なシステムが必須である。この対応システムとして“コラムユニットによる大空間”の提案を行った。フーチン基礎の上に組み柱(コラムユニット)を立てる。組柱は4本400角パイプで、6MH×2.4MW、ブレースなし、これを24mグリットに立て、桁行きは組み梁でラーメン構造にする。組み梁は2250H×4-H鋼、ボックス型ラチス梁である。この梁を桁梁に、梁間方向には張弦梁でスパンの1/100という小断面のH鋼(200H×100W/スパン21.6M)を2400@で渡しヴォールト屋根として乗せる。構造としては版構造に近く、梁間に大梁がない。桁行き方向はどこまでもワンスペースのまま増築可能である。今回は3スパン72mの作業場で、全面に走行クレーンを設置している。組み梁下端で3.75mHあり、桁横断動線はどこでも可能である。ボック型は梁強度を高める為だが、チューブ内は設備配管スペースである。ここは人が通れる高さで増設やメインテナンスが容易である。基礎は全て独立基礎で繋ぎ梁がなく、機械の位置変更やパイプの埋め込みも自由である。以上のシステムにより長期操業での大きな生産ライン変更に対応可能だ。
作品14/大スパンの工場
鈴木啓二/建築設計社のホームページ
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