道路斜線の小住宅 / K邸
この住宅は両親の家に隣接して、若夫婦の家として増築された。敷地付近は細い道の入り組んだところで、西、北に道路、南に隣地という角地である。 一階は当初から車庫に決まっていたので、道路斜線から残された2、3階のスペースをどう取るかが課題であった。建築面積(二階部分の床面積)が約10坪のコンパクト計画で、いかに立体的な空間構成ができるかが、成否の鍵である。
この問題に解決を与えるシステムとして、鉄骨4本の円柱によるラーメン構造を採用した。ブレースの処理に悩まされ、思うところに窓が取れなかったり動線がつながらない、ということを考えると、この計画では鉄骨量のコストアップ以上に利点が提案できたと思う。採光および通風のための窓や空間を、必要なところに自由に取ることができた。
空間構成は3階部分が全体を決めている。西側、北側は斜線沿いに屋根となるため、採光は南側からとし、ここに階段の動線を重ね、このスペースを利用することによって光の分散を図っている。3階の子供室は、天井高が4mで、南側を2段の全面窓としたため、隣家の屋根越しに自然光をふんだんに取り入れることが可能になった。また、この窓から入った風が北側まで抜けるように足元の三角サッシュに通気用のルーバーを設けている。
2階のLDKには大工さん製作によるキッチンセットが並び、この上部は吹き抜けで、瓦棒ぶき屋根と一体化したトップライトから光が落ち、南側からの光と合わさって、ほどよいコントラストを作りだしている。
←北側外観
↓LDKスペース
作品24/道路斜線の小住宅K邸
鈴木啓二/建築設計社のホームページ
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