崖地の家
↑正面外観

←玄関から食堂



↓子供室


舞台造りの家
この家は若い4人家族の住宅で、要望は別荘のいらない都市住宅。敷地は東側に4m道路で接道、他三面は隣地。西側は隣地境界まで10m下がる崖地で眺望が良い。敷地は400uほどあるが、80%が崖面という特殊条件である。 この住宅の設計コンセプトは次の2点。一つは建築工法的な視点から崖地における地盤設定の方法で、崖面に手掘りでピアを埋込み、道路面から水平に人工地盤を張出し、広い水平面を造り出し木造住宅を載せている。崖地で土地単価の安い分で地業費用をカバーしている。 もう一つは意匠の視点から、屋根の形状とインテリアの空間性の関係についてである。気持ちの良い空間の広がりは平面構成に大きく依存するが、天井の高さや屋根の形状も、平面と協奏して豊かな空間を作り出す。崖下側からの景観を意識し、1・2階をゆったりとした一つの屋根を被せ、低い天井から高天井の吹抜けへ、屋根面はそのまま2階を包み込んで、空間性の楽しみが大きい。インテリアは木材を多く露出して、空間の連続性には特に配慮した。構造は在来軸組工法で、耐力壁は筋違と合板面材を併用、水平剛性は屋根面に組んだ軸組で固め、水平剛性の弱い吹抜部では梁を対角線に渡して補強をしている。 外構計画については、古くから地山であり、崖斜面樹林がそのまま残った、桜や榎の大樹、崖面全体を覆う竹林、それらを美しくそのまま残すことで、崖地の安全を確保しながら、自然と融合を図っている。
↑崖側外観
作品27/崖地の家
鈴木啓二/建築設計社のホームページ
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