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入家住宅の地域的特性 民家の観かた7:付属棟
Dその他の付属棟
作業小屋・納屋・付属棟は里山教室の為の利用施設で、意匠は近くに残る古い納屋を参照している。外観は貫構造土壁塗り、屋根は鉄板平葺きコールタール塗りである。作業小屋は梁間2間半、桁行き6間、下屋4尺で、体験教室が使用目的である。納屋は梁間・下屋が作業小屋と同じで、桁行きが4間と短く、農機具収納倉庫である。付属棟は、外装は同じであるが、主要構造は鉄筋コンクリート造で、茅葺民家に対して、今の建築法規に対応する消防設備を収納している。主屋廻りに配置した放水銃と、茅葺の棟から水を撒くドレンチャーのポンプ・消火水槽を設置している。一部に施設利用者の便所と厨房を併設している。
江戸時代、門は玄関、敷台などと共に身分を象徴する格式であった。このため民家には無かったが、世襲名主には働きや申請によって許されることがあり、江戸以降、構造の簡単な腕木門は富裕民家に普及した。腕木門は古くは都市や集落の入り口に設けられた門形式の一つである。ここでの形式は武蔵村山市後ケ谷戸通りの民家(建築年代:不明)に現存する門と、東村山市北山民家園に展示している門(建築年代:明治中期)とを参照している。腕木門は2本の親柱(五平に使う)の上部に冠木(カブキ)を通し、それと直行して腕木を抜き通し、先端の出桁と棟木で屋根を支える。門の内側に親柱を支える控え柱を立て、上下に貫を通す。これを木戸門ともいう。ここでの屋根仕上げは杉皮5枚重ね(長さ30cm@5cm)を丸竹で押さえている。

腕木門の参照例1:武蔵村山後ケ谷戸通り
腕木門の参照例1:同左

腕木門の参照例2:東村山北山民家園
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